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厚生労働省エイズ発生動向によれば、未発症HIV感染者は1996年以降日本国籍男性を中心に増加が続いている。日本国籍のHIV感染者では、異性間感染は2001年以降130-180件の範囲で増減を繰り返しているのに対して、男性同性間感染は増加が続き、2000年からは報告数の過半数を占め、2007年には73.2%と大半を占める状況となっている。またエイズ患者においても、異性間感染は1999年以降100-130件の範囲であるのに対して、男性同性間感染は増加が続き2001年から1/3、2004年には異性間感染の報告数を超え、2007年には年次報告数の44.3%を占める状況となっている。さらに日本国籍HIV感染者を年齢階級別に感染経路内訳を見ると、15-24歳、25-34歳の年齢層では男性同性間感染の割合が高く、近年では年次報告の80%を占めている。
地域別に男性同性間感染の動向を見ると(図1)、
東京では1996年ごろから増加に転じ、大阪を中心とした近畿地域では1998年ごろ、愛知を中心とした東海地域では2001年ごろから増加に転じている。また、九州地域では福岡、沖縄で増加の兆しにあり、東北地域でも同様の兆しにある。九州や東北地域の年次報告数は近畿および東海地域が増加に転じた頃の報告数に達しており、今後は大都市部を抱える東京、大阪、愛知に加え、地方都市においても男性同性間感染が増加するものと思われる。
このような現状に対して、本研究では仙台、東京、名古屋、大阪、福岡地域でゲイCBO(地域ボランティア組織)と協働体制を構築し、MSM(Men who have sex with men)におけるHIV/STI拡大を防止するために、当事者性のある啓発資材や普及方法を開発し、MSMが利用する商業施設等を介したコミュニティレベルの啓発を試行した。
2005年度からの2年間の経過を踏まえ、2007年度は以下の点を計画し進めた。
1)5地域のゲイNGOの組織基盤構築を進め、他の地方とのネットワーク形成を図り、今後の全国的なMSMにおけるHIV感染対策の基盤構築とする。
2)東北地域:初年度に構築した仙台市にあるTHCGVとの協働体制を継続し、ゲイバー対象の啓発活動および自治体・関連団体との連携を促進する。
3)東京地域:ゲイバーの商業施設を介したコンドームや啓発資材のアウトリーチ、東京圏のハッテン場における予防啓発、aktaを中心にした東京都等の自治体との連携、東京圏にあるNGOとの連携を促進する。Living Together計画を強化し、他の地方都市への普及を図る。クラブイベント参加者への質問紙調査(1000人規模)を実施し、プログラム評価を行う。
4)名古屋地域:MSMを対象とした啓発イベントNLGRとHIV検査会(HIV、HBV、梅毒)を継続実施し、今後、MSMが他の公的検査機関を利用するように自治体と協力した検査普及を行う。
5)大阪地域:コミュニティ全体において予防への行動変容が進み、かつコミュニティ全体のコンドーム常時使用の割合が10%、HIV抗体検査の受検率が5%上昇することを目標とする。2005年に実施したバー顧客対象の調査を再度実施しアウトリーチの評価を行う。
6)福岡地域:福岡のコミュニティセンターと商業施設等、自治体との協働による啓発普及体制を確立する。
7)沖縄地域:近年HIV感染報告の多い沖縄のMSMにおけるHIV感染の現状を把握し、現地のゲイコミュニティと連携するボランティアセクターの方向性を模索し、予防啓発の基盤を構築する。
8)MSMの保健行動:MSMのHIV抗体検査受検を阻害する要因を把握し、その解決策を検討する。
9)インターネット行動疫学調査:REACH Online2005(有効回答数5,858人)の分析結果をネットで還元し、2007年度第2回目の5000人規模の行動疫学調査を実施する。
10)評価調査の開発と実施:RDS(リスポンデント・ドリブン・サンプリング)法と携帯電話を活用した社会的ネットワーク調査を福岡以外の他地域(東北、名古屋)にも導入し、各地の啓発浸透を評価する手法を確立する。
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