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1.東京における予防啓発の評価に関するクラブ調査による研究(木村博和、他)
東京におけるゲイボランティアによるHIV予防啓発プロジェクトRainbow Ringによる各プログラムの効果を評価するため、2003年、2005年、2007年とゲイ向けクラブイベントの参加者に対して質問紙調査を行い、HIV/STI予防に関する知識や意識、行動と予防啓発プログラムへの接触状況について調査した。
各年の質問紙回収数は1000件前後(2007年の総回収数は1100件)で、このうち回答内容からMSMと判定したものを分析対象とした。
(結果)
予防知識の正答率は、延命治療が可能72%、検査のウインドウ期79%、STI感染の影響72%、油性潤滑剤によるコンドーム易破損性54%であり、延命治療の正答率は前回2005年より増加傾向を示していた。過去6ヶ月間のアナルセックス時のコンドーム常用率は、特定相手との挿入時では55%、不特定相手との挿入時61%であり、前回調査より低下傾向を示した。過去1年間のコンドーム購入経験は51%で、2005年より増加していた。
過去1年間の抗体検査の受検率は37%で、2005年と同様であった。しかしRainbow Ringの予防啓発プログラムへの接触状況をみるとコミュニティセンターの認知度49%へと増加していたが、啓発コンドームの入手率は42%で2005年とほぼ同様であった。
ぷれいす東京との協働によるHIV陽性者の手記の普及啓発プログラムのひとつLiving Together Loungeの認知度は25%であった。今回の調査を年齢別にみると20代前半では予防知識の正答率が低かったが、啓発プログラムへの接触状況や予防行動に明確な違いは認めなかった。
年次推移についてみるとコミュニティセンター・アクタへの接触状況は高くなっており、着実に定着化が進んでいる状況がうかがえる。また抗HIV薬の延命治療の効果についての正答率が高くなっていた。Rainbow Ringでは、ここ数年、ぷれいす東京と協働でHIV陽性者手記の普及プログラムLiving Together計画を実施してきている。これらを通じて陽性者の生活を知ることが延命治療の正答率増加の背景にあるかもしれない。またゴメオやラッシュの使用頻度は2005年より減少していた。これら薬物の販売が法的に規制された効果と考えられる。
コンドーム使用、抗体検査の受検経験は2003年調査に比べて2005年調査では上昇したが、今回の調査では2005年との間に特に大きな変化が見られず(図9)、予防行動について行動変容を促すことは容易ではなく、さらに啓発の継続が望まれる。
今後、予防行動と予防に関する知識や意識、態度、予防プログラムへの接触状況との関連について分析し、行動変容に関連する要因について明らかにしていく必要があると考えられる。

2.大阪の予防啓発の評価に関するクラブ調査による研究(木村博和、他)
平成18年度までの大阪におけるゲイボランティアによるHIV予防啓発プロジェクトMASH大阪による各プログラムの効果を評価するため、2006年8月クラブ調査のデータを用いて、予防啓発プログラム(コミュニティペーパーSaL+)への接触状況と、HIV/STI予防に関する知識や意識、行動との関連について分析した。質問紙の総回収数は725件、このうち近畿在住のMSM530人(平均年齢29.1歳)を分析対象とした。
(結果)
予防知識6問の正答数についてSaL+接触群(n=204)と非接触群(n=326)の平均値を比較したところ、接触群の方が高く(接触群4.3問 vs 非接触群3.6問)、各質問の正答率も5問で接触群の方が高かった。過去の性行為の感染リスクの自覚(感染危険あった:30.4% vs 14.1%)や身近な陽性者の存在の認識(いる・いると思う:59.4% vs 41.8%)も接触群の方が高かった。性行為時のコンドーム使用状況や購入経験については両群間に違いを認めなかったが、抗体検査の受検経験はSaL+接触群の方が高かった(40.2% vs 32.8%)。
以上より2006年のクラブイベント参加者の質問紙調査において、予防啓発プログラム接触群では性行為時のコンドーム使用は多くないが、予防に関する知識や意識は高く、抗体検査の受検経験が多いことから、予防啓発プログラムによる受検行動への効果、影響の可能性が示唆された。今後、コンドーム使用以外の予防行動や性行為に関連する意識や態度について調査し、予防啓発プログラムの効果について評価する必要があると考えられる。
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