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RDS法を用いた‘hidden population’に対する調査法の開発
─ゲイコミュニティーのソーシャルネットワーク内での介入の浸透度の評価─
RDS法を用いた‘hidden population’に対する調査法の開発(金子典代、他)
本研究の目的は、1)リスポンデント・ドリブン・サンプリング法を援用した携帯電話による調査システムを開発すること、2)開発したシステムを用いて、ゲイCBOメンバーを中心とするソーシャルネットワークの特性と、ネットワーク内でのゲイCBOのHIV予防啓発活動の浸透度、HIV感染予防行動や検査受検行動の定着度、予防規範の浸透度を明らかにすることである。2006年より第一段階として、福岡、東京、大阪にて調査を実施し、第二段階として仙台、福岡、名古屋にて実施した。対象者のリクルートは各地域のゲイCBOメンバーからゲイ・バイセクシュアル男性の友人に協力を依頼し、友達から友達へと紹介を拡げ、対象者を拡大させる方法を用いて第一段階では233名、第二段階では128名より有効回答を得ている。本報告は、2006年末から2007年にかけて実施した福岡、東京、大阪の第一段階の調査結果と2007年12月より第二段階として実施した仙台、福岡(2回目)の結果に関するものである。
(結果)
第一段階の調査のデータ分析では、CBOメンバーから紹介を受けた層を第1層、第1層から紹介を受けたものを第2層と、以後同様に階層分類を行い階層別の比較を行った。第1層、2層、3-5層の3階層間で比較すると、階層が遠方にいくほど予防啓発プログラムの認知率やHIV陽性の友人がいる割合が低くなること、特定相手とのコンドーム使用意図が低いこと、過去6ヶ月に会ったゲイの友達の人数(ネットワークサイズ)が少ないこと、ネットワークメンバーとのセーフセックスに関する会話頻度が低いこと等が明らかとなった。第二段階の調査では仙台や名古屋地域でのCBOを中心とする社会的ネットワークの実態に関するデータを初めて収集した。また福岡にて2回目の調査を実施し、介入プログラムの浸透度の経年的評価を可能にするためのデータを収集した。今後も各地で経年的に本調査を実施していくことで、介入の浸透度の評価が可能になると考える。
本研究で開発したシステムは、調査参加者自身の望む場所や時間帯で回答が可能となるため、将来的にも調査に用いるツールとして有望であると考えられる。また、どの階層まで紹介が進んだかを記録することで、CBOが発信するHIV予防の情報がコミュニティの中で、どの程度まで浸透しているのかという情報を含んだデータを収集する事が可能となった。現時点では、携帯電話によるインターネットサービス接続料金が高額であること、地理・物理的環境によっては良好なインターネット接続環境の確保に限界があること、一画面に提示できる情報量に限界があること、限られたキーボードでの情報入力となるため操作ミスが起きる可能性が高いことなど限界がある。これらの限界点があるものの、今後も携帯電話の普及や機能の改善が進む事が考えられ、有望な調査手法となることが考えられる。本研究により示された限界点や課題を克服することで、より実用性の高い調査システムになると考える。
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